労働の時代による変化
高度成長期の1970年代から80年代当時の日本では男性を中心に猛烈に働くことが「良し」とされていました。
少々の病気では会社を休むことなく出勤し、残業を長時間することも休日出勤も何の疑問も持たれないどころか、それが「普通」と言われる時代でした。
しかし近年は今まで家で子育てや親の介護と家事を担い、夫が働くのを支えてきた女性もどんどん社会に進出するようになったり、外国人や障がい者の雇用もどんどん進んでいます。
女性が働くようになり、かつては育児や家事はほぼすべて妻に任せていた夫も、家のことを一緒に行わなければ子どもに悪影響が及ぼされたり女性ばかりが大変な思いをしなければなりません。
しかし以前のように会社で長時間残業をしたり休日出勤をしていたのでは家のことを妻と共にすることは難しく、妻もまた仕事をしているのに以前のように家のことも一人でしなければいけないとなるととても大変になってきます。
さらに日本経済全体が良くなく大手も会社でもリストラなどがあり、その後少なくなった人たちで今までと同じような業務を行うとなれば一人一人の負担は以前にもまして大きなものとなり、残業や休日出勤をしなければ生産が追いつかないという事態も起こっていました。
このような状態では今後女性の活躍にも支障が出てきて今後ますます起こる少子高齢化社会の中の働き手が減ってきます。すると国家の収入も減っていき日本がだんだん貧しくなってくる可能性が出てくるのです。
近年の働き方に関する様々な問題
また2015年には新入社員が過酷な労働条件で、心身ともに疲れ切ることによって起こった過労死自殺が起こりました。
高度経済成長の頃と同じような働き方を続けていた企業は今や「ブラック企業」と言われ、休日も少なく長時間労働を強いられると働く意欲を無くし、ついにはこのような自殺まで起こってしまうのです。
この事件の影響も少なからずあり、政府は2016年9月に「働き方改革」の実現を目指し実行計画の策定案を審議するための会議を開きました。
「働き方改革実行計画」はアベノミクスと称する大胆な金融政策や機動的な財政政策などにより大きな成果を上げ、長年低迷していた日本経済が少しずつ立ち直り求人数も多くなってきたのですが、少子高齢化などもあり生産性向上の低迷や革新的技術への投資不足があるため、誰もが生きがいを持って能力を最大限に発揮できるような社会をつくる必要があり、画一的な労働制度、保育や介護との両立ができるように労働条件や環境を変えていくというものです。
また非正規社員は正規社員と同じように働いているにもかかわらず、正規社員と同じような処遇を受けられないということで働く意欲をなくすことがあるので、できるだけ非正規社員を正規社員に移行できモチベーションを上げて仕事ができるようにすることによる労働生産性の向上を目指しています。
『働き方改革』を進めるにあたって企業に求められること
働き方改革を行うためには企業に求められることはたくさんあります。
まず残業を減らす取り組みをすることですが、仕事がたくさんあるのに現場のスタッフに「残業をしないように」と求めても、残った仕事は誰がいつやるのかということになったり、しかたなくサービス残業をしたりと結局社員たちに負担がかかってきます。
そこで企業側はスタッフが残業をしなければいけない理由をスタッフ自身で考えることができるようにサポートをすることが重要なカギとなってきます。
上からの命令や指示で動かなければいけない環境ではなく、スタッフ自ら考えて動ける環境を作っていくことは働き手のモチベーションを上げ生産性の向上につながります。
企業で上の立場にある人は今まで部下に対して一律の管理をしてきたものを、今後は個々と向き合って細かく管理をすることが大切です。
スタッフにも正規社員の人もいれば非正規の人もいて、小さい子どもがいるお母さんスタッフもいれば、時間に余裕のある人など様々な人がいる中で、みんなを同じような労働条件・労働環境の中で管理するとその条件に合わない人は働く意欲を失ったり、やめて違う会社に転職したいという人も出てきます。
そうならないためには管理職の人たちが個々のスタッフと向き合ってそれぞれの働き方を尊重してく必要があるのです。
テレワーカーを増やす
働き方改革を進めるにあたって「テレワーク」という制度の導入がよく離しに上がってきます。
テレワークとはITCを使って職場以外の自宅などで仕事ができるというシステムです。
自宅で仕事ができれば通勤時間を削ることができ、自分のペースで仕事をすることができ、子どもがいても子供の都合に対応することも可能です。
このような制度は経済的に余裕がある企業しかできないといわれていますが、政府は『テレワーカーの数を2020年には1割にする』という目標を設定しています。
これらの改革が行われることによりスタッフ一人一人が働き方を考えて実行し、心身ともに充実した状態で仕事をすることができ、それが生産性の向上にもつながるのです。
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